いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

食後のデラウェア

デザートに果物がでると豊かな気持ちになれる。

 

子供の頃はそうでもなかった。しかし大人になってからというもの、徐々に果物の美味しさと贅沢さに気づかされていった。

 

今夜のデザートはデラウェアだった。残業から帰り、遅めの夕食を温めているときに、その存在を妻から告げられた。とたんにぽっと心が華やぐ。早くもデザートに向けた助走をとりはじめるのだった。

 

久しぶりに食べるデラウェア。一粒一粒もいで口へと運ぶ。口の中で皮をむき、実を飲み込むと共に剥いだ身ぐるみを口外におしだす。柔らかな果肉を歯でおしつぶすと、清涼感ある甘みが口内に広がる。

 

気づけば両手を使い、運動会の玉入れの如く口に房を次々放り込んでいた。口内を果実だけで満たす喜びは、他ではなかなか味わえない。夕食で既に腹を満たした後だからこそ、アンコールで得られるその甘みに悠然とした豊かさを感じられるのであった。

 

デラウェアのおかげで単色の平日がしばし彩られた。たまにはこれくらいの贅沢は許してほしい。