村上春樹と柴田元幸の対談模様を主として収録した『本当の翻訳の話をしよう 増補版』を読了した。
雑誌MONKEYや村上柴田翻訳堂シリーズの巻末に収録された対談もあったので、半分くらいは既読のものであった。ただ、改めて読み返してみても、このふたりの翻訳話はとても面白い。
お互いにリスペクトをし合い、文学に対する共通した審美眼を持ち合わせているので、会話のテンポがよい。さらに村上は小説家ならではの視点を、柴田は文学者としての造詣を端々で折り込み、読みやすいながらも深い話を聞くことができるのであった。
また私はふたりが翻訳した作品を多く読んでいるので、彼らの口から登場する作家たちや作品をよく知っており、より関心をもって話を聞けるのであった。未読の作品に対しても興味を抱き、今後読んでみたい本がいくつも見つかった。
とはいえ最近、このような小説以外の本ばかりを読んでいたので、さすがに小説が読みたい欲が湧いてきた。久々に良質な小説にどっぷり浸かりたい。