柴田元幸監修の文芸誌『MONKEY』最新刊を読了。
刊行して30号記念として、編集長を務める柴田元幸がそのほとんどを翻訳し、しかも巻末には村上春樹によるカポーティの訳文と、著者についてのインタビューが掲載されているとあって、迷わずに購入した。
全編通して楽しめたが、期待値が高過ぎたのか、それを超えてはこなかった。柴田訳の作品は、巻頭のポール・オースターには心掴まれたが、その他で気に入ったのはひとつふたつ程度であった。
また巻末の村上春樹によるカポーティの短編も、初期の作品ということで、感覚的な表現が多く、好みではなかった。やはりカポーティは後期の作品が私には合うようだ。
そんなわけで8月頭に刊行される村上春樹のカポーティ初期作品については、楽しみにしていたものの、購入は見送りたいと思う。図書館で予約をして読むことにしよう。
今回本誌を読んで、たとえ好きな訳者である柴田元幸が書いていても、作者や作品によって、好みのもの、そうでないものが、ちゃんとあるんだな、ということは改めての発見であった。
日本語の文章を書いている人は同じでも、やはり原文の文体や物語によって、作品の受け取り方は大きく変わるのだ。そういう意味では、やはり作品は訳者だけで選ぶのは危険であろう。
また、そんなふうに原作に合わせた文体が書き分けられるという点を踏まえても、やはり柴田元幸は優れた訳者なのだろうなと、再確認した。
この文芸誌は相変わらず素敵なので、また気を惹かれる特集が組まれた際には、購入して読んでみよう。