いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

MONKEY vol.24 イッセー=シェークスピア

柴田元幸の文芸誌『MONKEY』の最新号を読了。

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年三回刊行される文芸誌で、私は気になる特集の時だけ購読している。今回は柴田が初めて訳すシェークスピア特集とあって、ワクワクしながら読んだ。

 

目玉となるのは柴田元幸が新訳した『リア王』である。シェークスピアを読むのは私も初めてであった。長いこと興味を持っていたものの、戯曲形式に馴染みがなく、これまで読むには至っていなかった。今回きっかけをくれた柴田さんには感謝だ。

 

シェークスピアの文章を、史上最も美しい文章だと言う者もいる。読んでみてその一端は実感できた。登場人物たちが発する台詞がどれも流麗で、口に出したくなるリズムの良さを感じた。演劇をする為の戯曲なのでそれも当然なのだろうが、なるほど、これはハマってしまいそうだなという感想を抱いた。

 

柴田の訳も功績も大きいのだろうが、物語からは古臭さを感じられず、新鮮な気持ちで最後まで読み通せた。シェークスピアの有名作は他にも多々あるので、いつか他の作品も訳してほしいものである。

 

本書には他にも、日本人作家の連載やエッセイが掲載されており、相変わらず良質な文芸誌だなと思った。柴田さんも自分の好きな物だけを詰め込んだこんな雑誌がやれて楽しいだろう。才ある者だけに許された贅沢なライフワーク。羨ましい限りである。

 

また唆られる特集が組まれた際は手に取り読みたいと思う。いつまでも刊行が続くことを願っている。