いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

海をつくろう

ひらめいた。娘はそう何度口にしただろうか。

 

今日も雨のため家籠もり。娘は三度の飯より遊ぶことが大好きだし、その遊び方の幅にも際限がない。

 

工作用にとっておいた大きな段ボールを使って、教育テレビに倣って巨大なサメを作った。それをきっかけに、寝室に海をつくろうと娘が号令をかけた。

 

さっそく娘は自分の工房(自室)へとかけこみ、折り紙やテープ、ビニール袋をつかって魚たちをつくった。また、段ボールの切れ端をみてアリエルの胸当てを思いだしたのか、人魚になる、と宣言した。

 

足の部分をどうするのだろう、そう興味を惹かれて眺めていると、娘は迷いなく折り紙をうろこのように重ね合わせ、カラフルな尾ひれを完成させた。それに自身の両足をつっこみ、段ボールの胸当てを貼りつけると、本当に人魚のようにみえてきた。

 

さらには、ベッド脇のカーテンレールに魚たちをぶら下げているときに、レースカーテンを舞台幕にすることを思いついたようで、ママを招いて人魚姫の劇をしようと言い出した。

 

さっそくママの座る客席もつくり、即席での舞台劇がはじまった。私もそれっぽい音楽を流す。娘はおもむろにレースカーテンを開き、宙を泳ぐ魚たちを見せた。そのうちに自身はカーテンの影にかくれて人魚に変身し、少し勿体ぶって登場する。

 

流れから私はサメ役を演じ、人魚姫に撃退されて幕引きとなった。妻が拍手を送る。気をよくした娘はそこから何度も舞台公演を繰り返した。終盤には海とは関係ない刑事モノの寸劇となったが、最終公演では娘がソロで踊り、大団円での終幕となった。

 

夕飯を機に、さすがに今日の遊びはお開きとなったが、娘はまだまだ「あれしよ」「これしよ」とやりたいことが尽きない様子であった。少しは遊び欲を満たせたかな、と思っていたがまだまだのようだ。

 

また明日も彼女の自由なひらめきに期待したい。