いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

彼の目

息子が産まれたことで、仕事観が変わったと思う。


娘が産まれたときには、仕事なんてさっさと終わらせて彼女と過ごす時間を増やしたい、そんな思いしかなかった気がする。しかし息子が産まれてからは、それとは違う想いも芽生えてきたのである。


それは『将来の息子に一目置かれたい』という願望である。男同士であることをこんなにも意識するものかと、自分でも呆れてしまうのだが、どうやらその想いは簡単には拭えないようなのである。

 

また息子に名前を授けたときにも、男として叶えてもらいたい私の願望を、一字の漢字に込めた。それは『なにかの領域において一番をめざしてほしい』ということ。それは当然ながら、男として私自身が叶えたいと思っている想いの表れでもあった。


ただ私自身はどうやらその想いを叶えられそうにない。ゆえに息子に託そう。当時はそんな気持ちもあったかもしれない。しかし、息子が大きくなっていくにつれ、私の気持ちにも徐々に変化が現れた。


やっぱりまだ諦めたくはない。この子に「親父みたいにはなりたくない」と将来思って欲しくない。願わくば、カッコいいと思われる父親になりたい。


まだ無邪気に笑っているだけの1歳の息子が、同性というだけで、これだけの気持ちを私に沸き上がらせてくれるのであった。その張り合う気持ちが、転職をすることに決めた一因でもあると思っている。


まだまだ30代。すべてを息子に託し、自分はのほほん働くというには、ちと早すぎる気もしていた。次に飛び込むのは厳しい世界ではあるが、新しい挑戦にはとてもワクワクもしている。そんな気持ちにさせてくれた息子には感謝しかない。これからも、良い意味で、彼の目を意識して生きていきたい。