いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

伸び盛り

好きこそものの上手なれ。

 

息子を見ているとそのことを実感する。彼が好きなのは食べることだ。ゆえに彼は、早くも自分ひとりでご飯を食べる術を習得しつつあるのだった。

 

早い時期から「自分で食べたい」と意思表示をしていた。私たちがスプーンで口元までもっていこうとすると、唸りながらブンブンと首を振る。しかたなくスプーンを手渡すと、嬉々としてそれを握るのであった。

 

もちろん最初から上手くはいかなかった。うまくご飯も掬えないし、口元に持っていく途中でボロボロとこぼしていた。しかし彼は挑戦を続けた。なぜなら食べるのが好きだから。自分のペースで、好みの順番で、大好きなご飯を食べたいからである。

 

そんな彼のスプーンやフォーク捌きはだいぶ上達した。前までは食事のたびに椅子の周りや服を綺麗にし、食べこぼしポケットのついたスタイを首の回りに巻いておく必要があったのに。

 

食べているときの息子は本当に生き生きとしている。やる気と自信にみなぎり、誰よりも嬉しそうに食べ物を口いっぱいに頬張っている。

 

一方で、彼は基本的にはあまり自信が持てない子のようだ。叱られることを極端に怖がり、何か新しいことをやっているときに私たちと目が合うと、自信なさげに俯き、上目遣いでこちらの表情を窺ってくる。

 

そんな彼になんとか自信を持たせたい。そう意見が一致した私と妻は、息子が新しいことをやるたびに、少し大袈裟なほどに彼を褒めることにした。

 

最近ではその成果もでてきたかもしれない。前は私たちと目が合うとすぐに辞めてしまっていたダンスも、「ほら見てみて!」と言わんばかりに思い切って踊るようになってきた。

 

娘はなにをやるにも自信満々な子なので、息子もこの調子でポジティブ精神を養ってほしいと思っている。三つ子の魂百までと言うので、彼の性格が形成されるまでにはまだ猶予があるだろう。褒めて伸ばすのだ。