未だ録画でみた大河ドラマの衝撃が収まらない。
佐藤浩市演じる上総介広常が誅殺された回だ。史実を事前に調べていなかった私は、予想外すぎるあまりに惨い展開に、心を掻き乱されてしまった。
三谷幸喜の描く今期の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は、ユーモア織り交ぜたテンポの良い展開とドラマチックな演出で、今最も楽しみにしているドラマだ。
脚本もいいが、今回に関しては役者達が本当に素晴らしかった。特に脚光が当たった佐藤浩市の演技は神がかっていたと言える。本当にいい役者である。彼にしか出せない唯一無二の味と、纏う魅力的な哀愁に、妻と一緒に惚れ惚れとさせられていた。
妻は史実を予習しているので展開自体は知っていたらしい。それでもその描き方には心底心酔し、絶賛していた。ストーリーを知っていようがいまいが楽しめる。歴史ドラマとしてはこれ以上ないつくりである。
小栗旬演じる主人公も本当に辛い立場だと同情する。上司にあたる鎌倉殿が恐ろしすぎて、職場としては極上のブラックだ。「もう出ていこう」「転職だ転職」と妻と一緒になって画面越しに語りかけていた。
厳しい時代だ。本当に現代ならすぐに部下たちは離れていくだろう。そう思うと、自らで働く組織を選べる現代は、とても恵まれているなと思ってしまった。