いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

ベランダプール・改

息子の手がシワシワになっていた。

 

それでも口元には笑顔が浮かぶ。妻が台所から氷を持ってくると、手の上に乗せて不思議そうに眺めていた。冷たくなったのか慌てた様子で氷を放ったが、水に浮かび、気泡を出しながらみるみる小さくなる様に、また興味を惹かれふたたび手に取っていた。

 

新しいプールを購入した。今回は以前のものよりも一回りサイズが大きい。ベランダも広いし、子供もふたりになったので、サイズアップをしてみたのだ。これがやはり正解だった。私もゆったりと足を伸ばせる。

 

娘も思い切り身体を伸ばして顔をつけバタ足をしている。その傍らで息子も水面をぱしゃぱしゃと叩き、顔にかかる飛沫に目を細めている。私は古いiPhoneで音楽を流していた。夏に相応しい弾けるミュージック。シェード越しの太陽を見上げ、漏れでる光線に帯びた熱を感じていた。

 

プールが大きいので準備は少し大変だった。空気は電動で入れたので楽だったが、水を溜めるのには時間を要した。ベランダにある蛇口にホースを繋ぎ水を出して待つだけなのだが、びっくりするほど水位が上がらなかったのだ。バスタブの2倍の大きさは侮れない。

 

もしかしたら準備にかかった時間の方が、水遊びの時間よりも長かったかもしれない。それでも楽しく1時間ほどプールに浸かり、みんなで上がって、その後はめいめいゆっくり過ごした。そして夕食は近所の焼肉屋へ。総じて楽しい一日だった。大きなベランダプールにはこの夏まだまだ活躍してもらうことだろう。