いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

ある作家の夕刻

フィッツジェラルドの『ある作家の夕刻』を読了。

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こちらも今回は図書館で。村上春樹翻訳ライブラリー形態がリリースしたら、改めて購読する予定だ。

 

フィッツジェラルドの晩年の作品(短編小説とエッセイ)が収められている。どれも味わい深かったが、中でも私小説風の『ある作家の午後』が素晴らしくて、とても気に入った。

 

力の抜けた文体ながらも端々の表現はウェットに富んでいて、気持ちよく筆が乗っているように思えた。一応は小説なのだが、十中八九筆者自身の実体験だと思われるので、ほとんどエッセイとしても読むことができる。こんな作品が書けたらさぞ気持ちが良いだろうなと、羨ましく思った。

 

一方で、後半に収められたエッセイは、訳者の村上春樹は絶賛していたが、私には少し難解に思えて、いまひとつその良さを味わうことができなかった。数年後に改めて購読する際には、その良さを理解できるようになっていれば嬉しく思う。

 

今から読み返すのが早くも楽しみになっている。そのとき『ある作家の午後』を読んで私はどのような感想を抱くのだろうか。少しでもそれに近づくような日常の描き方ができるようになっていればいいのだけど。