ポール・オースターの『内面からの報告書』読了。
オースターの小説は好きだが、やはりエッセイは(一部を除き)そこまで好みには 合わない。本作も図書館で借りて読んだが、単行本で買わなくてよかったと思ってしまった。
もちろん文章自体は好みなので、読んで後悔するレベルではない。ただオースターはたまに細部の情報を詳細に並べ過ぎるきらいがあり、特に今回の場合はそこが目にあまり、読むのに疲れる箇所があった。
とはいえ、読んでいて楽しいところ、読み応えのあるところも当然あった。私は特に第二部で語られる、筆者の人生観に深い影響を与えたという二本の映画について書かれた文章が好きだった。どちらも対象の映画をとても観たくなった。
やはりオースターに映画を語らせると間違いがない。彼が監督をした『スモーク』も大好きであるし、小説作品でも、映画を題材に『幻影の書』が一番のお気に入りだ。筆者自体も映画を愛しているので、好きが故に魅力的に語れるのだろう。
さて、そんなわけで未読だったエッセイ二冊も読み終わった。海外文学なら図書館でも順番待ちなく読めるから有り難い。ただやはり次は小説を読みたいなあ。オースター最新小説の日本での出版が待ち遠しい。