いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

寵愛、有難い、怖い

私は上司から寵愛を受けている。

 

そう実感させられる出来事があった。午後、一通のメールが届いた。初めてメールを受け取る相手だ。隣チームのマネージャー。なんでも炎上案件が発生したためヘルプを頼みたいとメールには書かれており、組織内の何人かのメンバー向けに一斉送信されていた。

 

概要的な案件内容がメールに書かれていたが、いわゆる「猫の手も借りたい」系の募集内容であり、実力者向けに送られているというよりは、手の空いている奴に手当たり次第に送付された印象を受けた。現に私は、いまプロジェクトには関与していないため、暇なひとりだとカウントされたに違いなかった。

 

来週からすぐに始まり、可能であれば出張もしてほしいとのことだ。しかも期間をみるとゴールデンウィークにまで稼働をさせられそうだ。そのくせ、泥臭い作業ばかりだと想定され、キャリアにおいてはなんのプラスにもならなそうだった。

 

稀にみるハズレ案件。正直やりたくなかった。ただ現在私はプロジェクトに関与していないし、マネージャーの代わりに新規案件獲得に向けた提案書を作成しているので、どちらかというと炎上案件のヘルプの方が優先度が高いのかもしれない。そうは思いつつも、一応、直属の上司にお伺いを立ててみることにした。

 

結論から言えば、上司はその斜めからの要請を知らず、私を関与させないよう、別の人をあてがい、私のアサインを防いでくれた。すぐに責任者に、彼はキャリア上マネージャー業務を今から経験させたいから、という名目でもって調整してくれたのだ。

 

当然、感謝の念も覚えたが、同時に怖くもなった。

 

そんなにも特別扱いをしてくれるほどに私のことを買ってくれている。それは裏を返せば、その期待を裏切ったら、そのぶん失望感も半端ないのだろうということだ。ここまで配慮してやったんだから、すぐに昇格して絶対的な戦力になれよ。そんなプレッシャーを、暗に感じてしまったのである。

 

寵愛されるのは有り難いと思う反面、ちと考えものでもあるな、という贅沢な感想を抱いてしまった。でもハズレ案件も避けられ、ゴールデンウィークも死守できたのだから、やっぱり感謝はすべきである。そしてその恩に報いるためにも、今与えられたタスクを精一杯にやり遂げようという気持ちも強くなった。うん、やっぱりうまいことコントロールされているのかも。