ポール・オースターの最新文庫を読了した。
以前、単行本を図書館から借りて読んでいたが、今回2冊が1冊になる形で文庫本として刊行されたので、購入して改めて読み返してみたのだ。
著者のこれまでの人生を、『冬の日誌』では「身体」にフォーカスし、『内面からの報告書』では「精神」に焦点を当て、振り返る一風変わった自叙伝である。
改めて読んでみても、心に一番残ったのは『内面からの報告書』の中盤に書かれている、『脳天に二発』と題された章だった。彼が若い頃に衝撃を受けた映画2本について詳細に描かれている。
やはりポール・オースターに映画を書かせたら右に出る者がいない。と私は思っている。以前読んだときもこの章には感銘を受けたが、二度目にしてもまた同じところが最も印象に残り、今度読み返す時にはこの章だけを読み返すのもありだなと考えるまでに至った。
なんにせよオースターの文章を読むのは久しぶりだったので、改めてその良さを実感することとなった。歴代最高傑作と名高い長編小説の翻訳本がまだ出ていないので、それが待ち遠しい。日本での発売日が決まったら速攻予約し、すぐに読み始めたいと思っている。