いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

近所のスターバックスにて

場所は壁一面がガラス張りの近所のスターバックス

 

そこに打ち付ける雨粒をぼんやりと眺めながら、ガラス正面のソファに座り、カップに注がれたカフェオレをすすっていた。

 

膝の前に置かれたテーブルにはさきほど購入したパンとサラダロール、ケーキがプレート上に並べられている。時間は12時半を回ってお腹が減っていた。待ち人を待たずにパンから食べ始める。

 

購入時に温めてもらったパンの中にはチーズとハムが挟まっている。とろりと溶けたチーズは主張しすぎない味わいで私の好みにあっている。パンも噛みしめるたびに小麦の香りが感じられ、歯ごたえとしても丁度良い。


一品目のパンが、幸せのマーチを奏でながらに腹の中に収まる。開かれたゲートをいまさら閉じることは困難で、躊躇もなく右手が次の対象物へと伸びる。二品目はサラダロール。先日コストコの似たような商品を食べ美味しかったので、同じような感動が味わえると思い選んだものであった。

 

ひとくち噛みしめる。ぷりぷりのエビがしゃきしゃき野菜と共に口に転がり込む。外側のロール、味付けからもスタバフードらしい上品な仕上がりを感じられた。これも絶品。野菜を溢れ落とさぬよう気をつけながら、こちらもすぐに手中から消えてなくなった。

 

フードふたつを食べきり、さすがに次に進む前に躊躇する気持ちが芽生える。まだ待ち人は現れず、プレートに残るはデザートのチーズケーキだけだ。ひとまずカップのカフェオレをすする。しかしそれでは腹は満たされない。

 

仕方ないので、フォークを手に取り、それをゆっくりとチーズケーキに沈めながら、一口サイズを切り離す。そこにフォークを刺し、口へと運ぶ。やはり美味。これは毎回食べているので、その実力は既に把握している。

 

もう一度正面のガラス窓に目を向ける。雨は変わらぬ強さで降っているが、待ち人の姿はまだ現れそうもない。私は視線をケーキに戻し、さきほどと同じ所作でケーキの切れ端を口へと運び、噛みしめた。

 

そのようなサイクルをできるだけゆっくりと繰り返したが、結局はものの数分で終了となった。いまやテーブル上のプレートの上には、食べ終わりの残骸と、残り1/3となったカップのカフェオレしかない。

 

そこでついにガラス越しに待ち人の姿を捉えた。ヨガレッスン帰りの妻である。今日は私は在宅デーだったので、妻とスタバで待ち合わせをし、ふたりでランチを食べる約束をしていたのだ。

 

濡れた傘をビニールにしまいながら妻が私の元へとやってきた。私がもう全部食べちゃったというと妻は笑った。彼女は荷物を私の横のソファに置くと、自分の昼食を買いに店内のカウンターへと向かった。

 

私は妻が戻ってくるのを、ソファに深く沈み込みながら、カフェオレをちびちびとすすり待っていた。まだ少しお腹が減っていたので、妻の買ってきたものを分けてはもらえないだろうか、と心の中で考えていた。