いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

踊る子供に、撮る大人

娘は歌と踊りが大好きだ。最近では驚くほどの上達ぶりを見せている。

 

振り付けのモデルとなるのは、教育テレビ『おかあさんといっしょ』のダンスだ。特に『ファミリーコンサート』の録画を娘にはよく見せているので、そこにでてくる童謡の踊りはしっかりとマスターしている。

 

昨日も『おうたえほん』を使って自分で歌を流しながら、歌い踊っていた。その姿があまりにも可愛かったので、妻は思わず動画撮影を開始した。

 

まずは『ねこふんじゃった』。絵本についているマイクを掴みながら歌っていた。既に抑揚をつけた歌い方ができており、高音も伸びている。これは将来そうとう歌が上手くなるのではないかと、親バカ丸出しの期待感を抱いてしまう。

 

つづいては『おにのぱんつ』。手振りをつけながら歌っていた。「つよいぞーつよいぞー」のところでする力こぶポーズと、できる限りの低音を振り絞ろうとする歌い方が実にチャーミングだ。サビでは興奮のあまり飛び跳ねながら踊っていた。

 

次はその勢いのまま『もりのくまさん』をチョイス。リズムに合わせて肩と腕を揺らせながら、立ったまま気持ち良さそうに歌っていた。途中なにか気に入らなかったのか、再生ボタンを押し直しはじめから歌い直していた。娘にとってはまだ練習中の曲なのかもしれない。

 

最後は『ブンバ・ボーン!』だ。はじめて聞いたときには、なんだこのヘンテコで支離滅裂な歌は、と私は文句を言っていたのだが、今では中毒になるほど大好きな楽曲だ。

 

当然娘も大好きなため、テンションも最高潮を向かえていた。振り付けを忠実に再現しつつ、歌も上手に被せている。変則的なリズムだが緩急使い分け乗りこなし、キレのある踊りを披露していた。

 

私と妻はその可愛らしさに身悶えしながらも、声を押し殺しビデオを回し続けた。この動画は傑作になる、変な笑い声を入れてこの歌声をかき消してはならない。そのような共通意識が、私たちの間には無言のうちに形成されていた。

 

「じゃじゃじゃん!」

 

最後の最後、娘はオリジナルの決めポーズをかけ声と共に繰り出した。そしてその悦に入った表情が動画を締めくくることとなった。妻は震えながらに録画停止ボタンを押した。傑作動画の誕生だった。

 

その後、私と妻は大笑いした。こらえてきた感情がそれぞれに吹き出したのだ。そして娘に対して二人から大きな拍手と称賛を送った。

 

娘は少し戸惑いながらも、自分の歌と踊りが褒められたということを感じ取ると、満面の笑みを浮かべて一緒になって拍手をしていた。

 

歌って踊るとパパとママが喜ぶんだ。褒められると気持ちいいな。そんな風に娘が感じてくれたら嬉しいなと思う。

 

その後は撮影した動画を妻と見つつ、いかに可愛いかをそれぞれに言い合った。動画は『おうたえほん』を買ってくれた両親らにも送り、その可愛さを共有した。

 

この動画は元気の出ないときに見よう、妻はそう言っていた。確かにそれだけのパワーを具えた動画だ。私も仕事に行く前に毎朝見ることにしよう。そう決意して昨夜は眠りについた。

 

*****

 

そのような理由で、今日は朝から元気いっぱいだ。さっそく実行に移し、画面の中の娘からたくさんのパワーをもらった。

 

何度も見返してしまったので、仕事中ふいに頭の中に娘が登場し、笑ってしまわないか今から心配である。

 

と、そうこう言っていると、どうやら娘がこの文章を締めくくるためにやって来てくれたようだ。是非ともお願いしたいと思う。

 

「じゃじゃじゃん!」