いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

進撃の娘

ついに1つ目の壁が突破された。もはや私たちは、繰り返される娘の進撃をただ指を咥えて見てる他なかった。

f:id:pto6:20180628081246j:image

それまで我が家は盤石の要塞を作り上げていた。

 

キッチンには娘が入れないようゲートが取り付けられ、リビングから廊下へと続く道には、娘ではドアノブに手が届かない強固な扉がそびえ立っていた。

 

そのためこれまでの娘は、リビングとそれに繋がる広めの和室が、家の中で唯一自由を与えられた活動領域であった。

 

私たちは、その領域を万全に整え(触られたら困るものは高所に置き、下にはプレイマットを轢き、コンセント穴は塞いだ)、娘は安全が確保された空間の中で思いっきり遊んでいた。

 

想定されたテリトリー内に娘の行動を制限させることで、私たちは日々の見守りにおいて、ある程度目を離せる余裕をつくりだしていたのだ。

 

しかし、その平和な日常が、一昨日あたりから音を立てて崩壊してしまった。

 

突破された壁は、和室から廊下へと繋がるふすまである。

 

リビングの扉と同様、これまで娘はふすまを開けることができなかった。

 

しかし、身長が伸び、知恵がついてきたことにより、ついに娘は自分の力でふすまを開けられるようになってしまったのだ。

 

片方の壁を突破したことにより、娘は廊下への道を自らで切り拓くことができるようになった。

 

そこから先には、寝室、トイレ、洗面所、玄関など、新たな活動領域が多数広がっている。

 

それらの入り口にも、リビングと同様の扉がついているにはいるのだが、それらがいつも閉じられているという保証はない。

 

少しでも開いていようものなら、娘は躊躇なく、更なる進撃を繰り広げることであろう。

 

私と妻は戦々恐々としていた。

 

これからは“進撃の娘”に終始怯えながら、毎日の生活を送っていく必要があるのだ。

 

対策が急務である。すぐにでも妻との緊急会議を開きたい。