いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

我が家のマリー・アントワネット

最近お気に入りになった娘の口調がある。

 

「~じゃない」という口調だ。文字面だとわかりづらいが、否定形の意味ではなく肯定系で使われる。マリー・アントワネットが言った「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」と、似たようなニュアンスだ。

 

娘の場合「ほら、~じゃない」という形でよく使われる。毅然とした大人びた言いっぷりで、その幼い見た目とのギャップに、しばしば父性本能をくすぐられる。

 

昨夜も娘と遊んでいる最中に、なんどもアントワネット節が飛び出した。「ほら、ここにあるじゃない」「あれ、もうないじゃない」といったぐあいに。

 

片方の拳を腰におき、もう片方の腕をこれ見よがしに広げてみせる。外国コメディドラマに出てくる身振りの大きい女子みたいだ。でも、その堂々とした振る舞いが、いっそう可愛らしさを引き立てているのであった。

 

ちなみにこの口調は妻ゆずりだ。つまりは、我が家にはマリー・アントワネットがふたりいることになる。いつか『女2人vs私』の構図でケンカが勃発した日にゃ、アントワネット節が次々と私を襲ってくるだろう。

 

そしてその際は、ご飯もパンも与えてもらえず、私はひとり寂しくお菓子を食べ、飢えを凌ぐのだろう。革命を起こす勇気なんて、私は持ち合わせていないのだから。