いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

命令的疑問文

娘は少しあざとい物言いをする。

 

「ぱぱ、これやってくれる?」

 

語尾に?がついているが、そんなものはあってないようなものだ。はなから私に選択権は与えられていない。

 

娘はお願いをするときには、ほとんどこの口調を使う。疑問文だがほとんど命令であるこの口調を。ただそうはわかっているのに、直接的に「これをやって」と言われるより、いくぶん奥ゆかしさを感じるから不思議だ。

 

形式上ではあるにせよ、「やってくれる?」とワンクッション挟んで尋ねられるだけで、「もちろん」「いいとも」と、つい気前よく応えたくなってしまうのだった。

 

私がうんと応えると、娘はさも当然だと言わんばかりな顔をするが、一応「ありがと♪」と小悪魔的にお礼を言ってくれる。それを聞くと私も、まあ今回くらいいいか、と思ってしまう。結局はそれを繰り返すのだけど。

 

何回か、娘の問いかけに「嫌だ」と応えてみたことがある。すると娘は語気を強め、「や゛っ゛て゛く゛れ゛る゛!?」と繰り返し圧をかけてくるのだった。もう一度言うが、はなから私に選択権は与えられていない。

 

妹や弟ができたら娘の女王気質は更に高まるのだろう。将来もしたたかな女性になりそうだ。ああ、頼もしや。