いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

血を見てから泣く

娘が大泣きして帰ってきた。

 

玄関の外から既にその声は聞こえていた。何事かと思い、ぐずっていた息子を抱っこしたままに玄関へと向かう。幼稚園からの帰りだ。

 

娘は泣いているが、妻は笑っている。よかった。大きな心配はなさそうだ。その証拠に、妻が娘に自業自得だと言ってたしなめている。

 

妻から話を聞くと、娘が長靴をはいて走っていたので注意をしたら、案の定転んだそうだ。しかしその後もしばらくの間は遊んでいたらしい。泣き出したのは膝小僧の血を見てからだ。

 

そういえば私もそんな場面を見たことがある。娘は血を見たとたん急に不安になるのか、それまで自覚していなかったはずの痛さに、過敏な反応を示すのだ。つまりMAXの大泣きである。

 

逆に血が出てないと娘は転んでも平気だ。彼女の中でもそれがバラメータになっているようで「だいじょうぶ、チはでてないから!」と元気いっぱいに答えるのであった。傷が治ったときもそう。「もうチがでてないよ!」と笑う。

 

血が出なくても痛いときはあるし、血が出てもそうでもないときはある。でも娘にはまだそんなことを言っても難しいだろう。娘を抱きあげ慰めながら、そんなことを考えていた。

 

早く傷が治りますように。今夜お風呂に入るときには、ふたたび大泣きするのだろうなあ。