いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

あやとり

「ここをこう、で、ここをこう、ぐいっと」

「えっ?どう?わかんなーい」

 

娘とあやとりをしていた。幼稚園の友達の影響でハマったらしく、本まで買って妻と練習している。

 

最初は全然だった娘だが、今では驚くほどに上達した。もはや私ができる形はほぼできるし、妻から教わったスゴ技をドヤ顔で披露している。

 

そんな中、唯一私だけしかできない形がまだ存在していた。とはいっても、テキトーにやったらたまたまできただけなのだが。それを娘が教えてと言ってきたので、教えてあげたのが冒頭の会話である。

 

改めて、あやとりを言葉で説明するのはとても難しい。正直、娘のあやとり本の解説を読んでみても、わけがわからなかったほどなのだ。

 

昔、お笑い芸人のラーメンズがそれをテーマにコントをしていたのを思い出した。「手前の糸を線A、向こう側の糸を線Bとして、それらが交わるところを点Xとしたときに…」と、言語化しようとするとどうしてもまどろっこしい説明になる場面を、面白おかしく笑いにしていたのだ。

 

それにしても私は説明が下手すぎると、隣で見ていた妻に叱られてしまった。そうは言われても、どうやったら正解だったのか、今でもよくわからない。

 

これだけ伝達が難しい遊びなのに、古から語り継がれ、今でも幼稚園で流行っているというのだから、あやとりはすごい遊びだ。娘は腰につけたポーチにいつでもあやとり糸を入れ、持ち歩いてるようだ。

 

女の子は特に情熱を注いで新技を覚えることに躍起になっている印象を受ける。娘からこうだよ、と色々教わるのだが、よくもまあ、そんな複雑な指の動作をいちいち覚えていられる(覚えようと思える)ものだと感心してしまった。

 

それでも私も、ふたりあやとりをするのは結構好きである。上手に取って綺麗な形になると、あはっと嬉しくなる。進まなかった形の取り方を教わり次に進めると、新しい扉が開いたような快感を覚える。

 

我が家のあやとりブームもしばらく続きそうだ。