いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

スリル

息子が顔からすべり降りてくる。

 

高い高いをしてあげているときと同じ表情だ。目はキラキラと輝き、口元はだらしなくつり上がり、もしかしたらヨダレを垂らしているかもしれない。

 

床に手をつくと、いそいそと立ち上がり、キャハッと笑い声を上げた。そして再び階段の方へと駆けて行く。最近、息子は滑り台がまたブームだ。

 

昨日も公園で色んな種類の滑り台をすべらせた。幼児用のもの。斜面が波打つもの。螺旋状のもの。斜面が長いもの。トンネル状のもの。超特大のもの。

 

そのうちのいくつかにおいて、不可抗力で息子が頭を下にしてすべり降りることがあった。妻が下で待ち構えていたのでもちろん怪我はない。ただ、きっとそのときのスリルが楽しかったのだろう。昨日以来、部屋の滑り台では頭からすべるようになった。

 

こういうところは娘のときには見られなかった傾向である。やはり男の子はどこかスリル狂なところがあるのかもしれない。怪我を顧みないというか、後先考えないというか。当然、親としてはハラハラさせられるのであった。

 

ただそんなヤンチャでわんぱくな息子の姿を見るのは、楽しい瞬間でもあるのだった。コロナ禍もあって生まれて以来、家にいることが多い彼だけれど、しっかりと野性味は備わっているようで嬉しい。