いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

ひねり王子

妻が息子の散髪をした。

 

一気に短髪になり、変になることも覚悟していたのだが、生まれ持った素材の良さがさらに際立って、すこぶる王子感が増したのであった。

 

髪型を選ぶのは、やはり私のような凡人だけの話らしい。たしかに芸能人たちも、イメチェンをしてもたいていは好評を博している。

 

彼の短い前髪と、あらわになったパチクリおめめを見るたびに、私はうっとりとしてしまう。同性のほうが同性の美点に敏感だというのは真実だろう。人懐っこさと凛々しさが同居した今風のイケメンなのである。

 

そんな顔の造形は出来上がりつつある息子だが、まだ1歳半の幼児である。食欲は旺盛だが身体は小さく、言葉の覚えも娘のときと比べ遅いようだ。

 

しかし娘や私の影響で、最近音楽によく反応するようになった。お気に入りの曲が流れると、リズム良くダンスを始め、ところどころでハミングを奏でる。

 

ダンスはもっぱらひねりが中心だ。ガニ股で仁王立ちして、テンポに合わせて上半身をくるくるひねる。たまに手の振りもつけ、膝もつかって全身で音に乗る。

 

これまた縦ノリを得意とした娘とは異なる傾向である。なんにせよ、チャーミングな息子のダンスは、いつだってその場の空気をやわらげてくれるのだった。

 

もしかしたら息子の顔面偏差値は、この歳でピークになるのかもしれない。それにメンタルはいまのところ貧弱そうだ。けれども思わず彼の青年像に妄想を膨らませてしまうのだった。うちの期待の星のひとりだ。