いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

おしマイケル♪

図書館から借りた本を閉じながら息子が言う。

 

「おしまいけん♪」

 

これは私が以前、悪ノリで教えた「おしマイケル」を真似してのことである。そんな知る人ぞ知る往年の一発屋ギャグを、私は何の気無しに、ノリで息子の前で使っていた。

 

なにせ口あたりが良かったのだ。本の読み聞かせのたび、裏表紙を閉じる際に「おしマイケル♪」と言っていた。私はすぐに飽きてしまったのだが、言葉を覚えたての息子は、可哀想なことに、それが「おしまい」を表す言葉だと覚えてしまったようなのだ。

 

しばらく妻は息子がそれを口にするたび、私を睨みつけていた。とても可愛いのだが、くだらないギャグを、正規の言葉と取り違えて覚えさせたことを、大罪であると私に突きつけてきていた。

 

ぐうの音もでない。ここ最近は、以前と比べては口にしないようになったが、図書館で新しい本を借りてきた際や、息子がご機嫌なときなどに今でも口にする。

 

「おしまいけん♪」

 

「けん♪」のところで、リズムに合わせ心なしか首を傾げる。あまりの可愛さに微笑ましく思えるのだが、自分の罪を思い出し、慌てて反省の念にかられる。

 

早いところ忘れてくれればいいな。

 

そう思いつつも、最近では「せっせっせいや!」や「トゥース!」や「あーい!」を息子と一緒にやっているのである。妻からの白い目の圧は強まるばかり。