いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

突然の元同期からの電話

夕食後、のんびり仕事をしていると着信があった。

 

前職の同期の名前が表示された。FaceTimeだったので向こうの映像が映し出される。あっちにはふたりいて、もうひとりの方も交友のあった同期であった。

 

なんでも会社指定の泊まりの人間ドックで再会し、ふたりで飲んでいるようだ。なかなかにお酒が回っていて、挨拶も早々に愚痴が始まった。

 

主題については予想がついていた。先日、結果が明かされた課長試験のことである。実は結果が出る前から、ある情報通からの共有で彼が落ちたことは知っていた。

 

案の定、彼は自分を落とした会社への文句を吐き散らし、転職すると吐き捨てた。気持ちはわかった。自分もその結果になれば同じ気持ちになるだろうと思ったからこそ、その前に転職に踏み切ったという背景もあるのだ。

 

転職いいぞ、年収も上がるし仕事も楽しいし、良いこと尽くしだぞ、と彼の調子に合わせながら、転職を勧めながらに慰めの言葉をかけてあげた。

 

聞くところによると、他にもたくさんの同期が試験に落ちたらしく、想像以上に狭き門になっているらしい。あの会社では最速で昇格していくことだけがステータスである。彼のやらせ無さは痛いほどわかった。

 

とはいえ彼は落ち込んでいるわけではなく、単に会社に対して腹を立てているようなので、とっととキャリアアップ転職をして、会社に後悔されればよいと思った。きっとそうしてあの会社は、多くの人材に見切りをつけられ、いつのまにかに競争力を失っていくに違いない。

 

そんな彼とは愚痴混じりの楽しい会話をした後、こんど転職について話聞かせてくれと、飲みの約束をしたところで通話を切った。その際も楽しい飲みになることだろう。

 

一方で、仕事終わりには、試験に合格したという同期の方にもお祝いの連絡を入れた。返信を確認すると、どうやら転勤しない形での昇格ができる見込みなのだそうだ。実にめでたい。優秀な人材はとことん優遇するのかもしれない。そういった意味では、会社としてはメリハリがあるのやも。

 

なんにせよ、突然の電話により、はからずとも前職の嫌なしがらみを思い出した。改めて思うことはひとつ。ああ、やっぱり転職しておいて良かった、だ。