いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

はじめてのクライアント提案

今日は初めてクライアント提案を行った。

 

本来はマネージャー以上が担うタスクなのだが、将来的なキャリアアップに向けて、現在前倒しで経験させてもらっている。提案書も自分で書き、クライアントの説明も私で行った。

 

しかし、提案内容については感謝をしてもらえたものの、先方は、今回の提案で我々が支援を申し出た「将来に向けた種まき」よりも、「明日の飯の種」となるような部分での支援を希望していることがわかった。

 

議論を交わし、相手が我々に期待していることもだいぶ理解できたので、提案内容を変えて、来月に改めて提案をさせてもらうことの約束を交わした。

 

今回の提案内容は、上司らの意見を踏まえて、もともと私で考えていた方向性からは大きく変更した内容で持っていっていた。私の最初の提案内容は視座が低く、将来というよりも目先の事業を支援するような内容で書いていた。

 

昨年度、今回の相手先にはプロジェクト支援をしていたので、彼らのキャパシティを踏まえると、先のことよりまずは目の前のことを片付けたいはずだ、と予想していたからである。

 

ただ上司からの指摘で、向こう側の要望にただ合わせるだけなら良い提案とはいえず、相手も気づいていないさらに重要な課題に気づかせ、その解決に向けた提案をするのが我々の役目だと言われ、将来に目を向けた提案を今回は行ったのであった。

 

今回の相手の反応を受け、やはり当初私が睨んでいたとおり、クライアントは将来よりも目先なのだと、ひとつ私の仮説が当たっていたことが確かめられた。私と同じ程度の視座でどうするんだ、とも内心思ってしまうのだが、実務を持つ部署はそうなってしまうのも理解できる。

 

だったらもともとの私の提案で良かったじゃないか、と上司に対して不満を抱いたかというと、そんなことはない。視座を上げてみた時には、やっぱり目先だけではダメで、今回持っていった提案内容の方が、真に彼らに必要なことだと私も今は思っているからだ。

 

そんなわけで、クライアントと別れてからの駅までの帰り道、上司らと次回の提案に向けた作戦会議をしていたのだが、結論としては、彼らが求めている目先の提案と併せて、もう一本、将来に向けた提案も、同時に持っていく方向性に決めた。

 

相手の要望に応えるのももちろん大事ではあるが、やはりコンサルタントとしては、クライアントが気づいていない重要な課題にも気づかせ、本当に良い方向へと進めるよう、お手伝いをしてこその存在価値だと、我々は考えているからだ。

 

提案書を2パターン作るということは、私の仕事も2倍になるということであるが、それが正しいと思うので、そこまで嫌な気持ちにはなっていない。

 

それにしても、提案活動を通しては、シニアマネージャーやパートナーといった、組織の幹部クラスの人たちと議論を交わし、高い視座での言葉の応酬に直に触れられるのでとても勉強になる。

 

どのようなことをクライアントが考えていて、どのような提案をしたら刺さるのか。そんなまさに戦略の醍醐味も味わえるので、なかなか面白い仕事である。

 

なんだか、この後に通常のプロジェクトへと戻ったら、味気なく感じてしまうかもしれない。提案活動というマネージャー業務の面白みを、少し感じ始めているのであった。もちろん、今ひとりでこれをやれと言われても、さらさら出来る気はしないのだけれど。