いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

ケーブルカーに乗って

同乗する人達もどこか冒険者の面持ちを携えていた。

 

なるほど、だからケーブルカーというのか、と車両が進み始めて知ることになる。山の斜面に伸びる線路の真ん中には等間隔に車輪が据えられており、くるくると回るその上で丈夫そうなケーブルが山頂に向かって引っ張られていく。

 

それがこの乗り物の全動力ではないのだろうが、それでも、なんとも原始的な手法を用いてこの斜面を登っていくのだなと、半ば感心する思いを抱いた。

 

今日は奈良の生駒山の頂上にある『生駒山上遊園地』を初めて訪れていた。標高が高いので涼しく、アクセス方法も限られているので混み具合も程々だった。

 

ここで一番の輝きを放ったのは娘である。彼女だけにフリーパスを買い与え、ほかの三人は回数券を二組買ってそこから適宜使っていった。娘は基本的に駆け足で園内を移動し、合計して二十あまりのアトラクションを乗り倒していた。

 

昼過ぎからは日差しも強くなり、私は日陰に入り身体を休める回数も増えたのだが、娘は相変わらず間髪入れずに乗り物を梯子していた。適宜水分を飲ませてはいたが、驚愕してしまうほどの体力を感じた。

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結局、帰りのケーブルカーの時間を考慮して、娘を乗り物から引き剥がして帰った。それでも元気が有り余る娘は、下りのケーブルカーにおいて先頭席を駆け足で陣取り、道中、椅子に座ることなく山の斜面を進む馴染みのない光景に目を輝かせていた。

 

息子も娘ほどじゃないにしろ、いくつかのアトラクションにも乗れ、ケーブルカーの道中もとても楽しそうにしていた。1日を通して大人たちはとても疲れたのだが、子供たちの満点の笑顔が見られて心は潤った。