いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

しみじみとフィッツジェラルド

ふいにフィッツジェラルドを読み返したくなった。

 

二、三日前のことだ。そこで私は本棚における特等棚の一角に並べられた作品たちを手に取り、その中から名作と言われる三作を選んで読み返すことにした。

 

訳者でもあり、国内屈指のフィッツジェラルド・フリークである彼が選んだベスト3作品だ。具体的には、『冬の夢』、『リッチボーイ』、『バビロンに帰る』この三作をしみじみと読み返した。

 

いつもはその文体が身体に馴染むのに時間がかかっていたフィッツジェラルド作品だが、今回はもとよりその文体を味わいたい衝動が先にあって読み返したので、読み始めからフィーリングが結合し、すぐさまその甘美な文学世界に陶酔できた。

 

彼の作品の中でも特級クラスの作品ばかりを読んだので、もしかすると公平なジャッジができていないかもしれないのだが、いまこの瞬間においては間違いなく、私が最も愛し、憧れる小説家は、フィッツジェラルドだと言わざるを得ない。

 

三作の中でも、屈指の名作『グレート・ギャッツビー』のベースとなった『冬の夢』は、深い共感と共に胸を打った。これからも何度も読み返すことになる生涯ベスト級の短篇小説であろう。

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さて、こんなふうに、一冊をしっかり読み切るスタイルではなく、再読したい一篇をつまみ食いで読み返すのもとても楽しい作業であると実感した。フィッツジェラルドに限らず、一軍の棚に置かれている作品たちを、そのように読み返してみよう。

 

ただその前に、もう少しだけフィッツジェラルドの文章に浸りたい気持ちがあるので、図書館で未読の長篇『夜はやさし』を予約した。週末の里帰りから戻ったら、さっそく取りに行き読み始めたいと思っている。