いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

座り上手

どうやら座るのにも上手い下手があるらしい。

 

そのことを息子を見ていて気付かされた。0歳の息子は床に座るのが上手だ。ものすごい安定感で、それが彼の基本姿勢となっている。

 

その座り姿は芝生に置かれたミニコーンのようだ。腰周りから足にかけての基礎部分がぶってりとしていて安定している。ちょっとやそっとボールが当たったくらいでは倒れないだろう。

 

少し前までは『ちょこん』という擬音を当てはていたが、いまでは『どっしり』というオノマトペの方がしっくりとくるだろう。

 

彼は移動と移動の間でその態勢を取る。床に腰を下ろして、はたして次はどこへ向かおうかなと、純朴なまなこで辺りを見回し、口をとがらせている。

 

多くの場合、彼はその後興味を惹かれたものへとまっすぐに向かっていく。畳の上に敷き詰めたプレイマットを剥がして齧ったり、コンセントに繋がった電源コードを掴んで振ったりと、わんぱくな行動をとることもしばしばだ。

 

彼はそんな行動を取るとき、それが全うしなければならない自分の責務かであるように、無心にもくもくと取り組む。君はそれをするプロなんか?とツッコミを入れたくなるほど真剣なのである。

 

そんな彼のテリトリーである絨毯の上に、さきほど公園帰りの疲れた身体で昼寝をしてしまった。痛みを感じて目を覚ます。目の前には息子がどんっと座っていた。彼の手には私の髪の毛が握られていた。