いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

君の名は(生物学的な意味で)

家の近くの服部緑地には大きな池がある。

 

ほんとうに大きな池で、見ていると湖にいるかのような錯覚にすら陥る。池には蓮の葉が浮かんでいて、橋の向こうではおじさん達が釣り糸を垂らしている。

 

池には水鳥たちが泳いでいる。たまに水中に潜り、顔をあげると、くちばしをぱくぱく動かしている。勝手な予想に過ぎないが、この池の生態系は自然そのままの形に近いような気がしている。本当に勝手な想像なのだが。

 

そんな池に、私たちがよく遭遇する、お気に入りの動物がいる。なぞの毛むくじゃらの生き物で、池をすいすいと泳ぎ、浅瀬に姿を現しては、草の枝や木の実をむしゃむしゃと食べている。

 

私たちは彼(彼女?)のことを、「かわうそ」や「でっかいハム太郎」と呼び、親しみを寄せていた。公園でその池に行く際には、気になって彼のことを探していた。

 

そんな彼のことを昨日も探していると、運良くふたたび遭遇することができた。前に見かけたところと同じなので、彼にも生活のルーティーンがあるのかもしれない。

 

そしてその場にいた、物知りそうな子連れのおじさんのおかげで、その生物の名前がやっと判明した。彼が自慢げに、彼の子供に教えているのを聞いたのである。

 

私はその場でネット検索し、その情報が正しいことを確かめた。たしかに画像検索をしてみると、私たちの「でっかいハム太郎」が画面に映し出されたのである。
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彼はヌートリアという生物だった。外来種のネズミのようだ。これですっきりした。ただ、名前を知ったことで神秘性が薄れ、愛着が半減しちゃったような気がする。